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RNAとタンパク質の進化分子工学​
生命の進化を実験室内で再現する

​ウイルスの起源を実験室で再現する

ウイルスは遺伝物質であるDNAまたはRNAがタンパク質のカプセルに内包された構造を持っており、さらに脂質二重膜で囲まれた構造を持つウイルスも存在する。現在の世界には非常に多様な生物とウイルスが存在しており、ウイルスは細胞への感染と増殖を繰り返しながら、生物と共に協奏的に進化してきたことが提唱されている。ウイルスの起源を探ることは生命起源研究においても非常に重要である。当研究室では、主に合成生物学・分子進化工学の手法を用いて、原始地球におけるウイルスの進化を再構築することを目指している。近年では、バクテリア由来の自己集合タンパク質をモデル分子として、タンパク質カプセルとRNAの共進化の過程を実験室内で再現することに成功した。さらに多様な機能を持ったウイルス模倣分子の進化研究を行っている。また原始ウイルスの進化の過程を再現するだけでなく、ウイルスの機能を模倣したバイオテクノロジーの開発も目指している。

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​細菌タンパク質からウイルス模倣粒子への実験室内進化

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​マイクロ液滴内でのタンパク質翻訳

​無細胞翻訳系によるタンパク質進化

​細胞内ではリボソームを始めとする様々な翻訳因子がタンパク質を合成しているが、そのような因子を試験管内で再構築したものが再構成無細胞翻訳系である。無細胞翻訳系中の因子を調整することで、細胞内では合成不可能な高機能分子の合成や、多様な種類のタンパク質を短時間に調製することが可能になる。当研究室ではこのような技術を用いて、医療や材料への応用を目指した高機能分子の創成や、原始タンパク質・ペプチド・RNAの進化実験を行っている。また、新規の分子スクリーニングシステムの開発といった基盤技術の創成も目指している。

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​人工リボザイムによるアミノアシル化反応

ここで挙げられていない研究テーマも進行中です。

詳細については下記の問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

​リボザイムによるRNAワールド構築

​現在の生物のセントラルドグマでは、DNA・RNA・タンパク質(アミノ酸)という三種類の生体高分子が遺伝情報の保存・伝達・機能を担っている。触媒機能を持つRNA(リボザイム)が発見されて以来、原始生物ではRNAが全ての役割を担っていたというRNAワールド仮説が広く支持されている。RNAワールドから現在のタンパク質ワールドへ変化する際には、RNAとアミノ酸を結合するアミノアシル化反応・そしてアミノ酸同士を連結する反応が必須であったと考えらえるが、そのような反応を触媒するリボザイムは現存しない。当研究室では、分子進化工学・ケミカルバイオロジー手法によって人工のリボザイムを創出し、RNAワールド(特に原始翻訳系)の再現を目指している。近年の成果として、tRNAの構造を認識するT-boxリボスイッチを進化させることで、天然のアミノアシルtRNA合成酵素を模倣したリボザイムを創成し、無細胞翻訳系で機能することに成功した。

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